おしょくじけん

202x年x月。
日本政府のコロナ対策法案、旅行券の次はお肉券、そしてお魚券。
ベジタリアン向けにお野菜券と選べる充実振りで昨今の少数意見対策も万全である。
勿論お米券も忘れない。更には喫緊で必要なおマスク券、おティッシュ券、お水券だってある。
全国民はこの数ある各種チケットから好きなもの好きな組み合わせを選ぶ事が出来るのだ。
地域振興目的に各地域によって特色ある券だって存在する。おうどん券、おみそ券、お餃子券、埼玉はそこらへんの草券だ。

可決後はその仕組みづくり。適格に人員を配置、そのために各業界の重鎮や定年後のベテランを招き入れ、
まずはその辺で満開の桜を眺めながら今後の日本の明るい未来に思いを馳せながら飲食。これは欠かせない。アメリカ語で言う所のキックオフミーティングだ。
予め決まっている方針が定まったところで下請けに発注。そこが更に下請けに発注。以下4回くらい繰り返し。
末端構成員まで話が行き届いたところでシステムの作成開始。
ところがここで問題発生。各市区町村の重鎮達が簡略化自動化されたオンライン決済は嫌だというのだ。
万が一のミスが発生した時に見つけられない、ちゃんと目視指差し検査は必要だという。
更に、窓口で対応する人員を割かねばならないという事で急遽引退した超ベテランを各所招集。
なんでも、メインのターゲットがオンライン、いやさヤッホーBBというインターネットを持っていないというらしい。
かくして全国全地域においてオンライン自動決済案ではなく窓口発行直接手渡しにシステムが変更となる。
二転三転しようやく決着という直前、アナログな紙出力、言葉通りの商品券を印刷する業者選定に難航。
やり手の国会議員が喧々諤々の大論争、最終的は発注先選定までに相当な時間を要したのだ。
揉めに揉めて延期に延期を重ねてようやく商品券が全国民へと手渡される。その総額は効果効用と予算を勘案し一律一人5せんえん。凄いぞ。
これが肝いりの経済対策、50兆もの予算を投じた一大スペクタクル事業の全貌なのである。

待ちに待った商品を入手すべく各市区町村役所窓口には長蛇の列。
当然お役所であるため窓口対応時間は平日9時5時。お昼休みだって忘れない。
そうして苦労に苦労を重ねて商品券を入手したとしてもまだまだ地獄の一丁目。
各種物品の生産や物流は相変わらず、それどころか悪化の一歩を辿っており、
券はあれど物がない、そのため各商店にも長蛇の列。一糸乱れず理路整然と並ぶ様は正に美しい国ニポン。


…あとは小売店向けのシステム導入と頓挫と廃業倒産とか、
破産連鎖による製造卸物流の崩壊とかフリマサイト等において該当商品券が飛び交う様とか、
そんなこんなあれやそれやも想像して書いてみようと思いましたが飽きたのでやめました。
己の想像妄想で終わったらいいなっておはなしです。
あ、旅行券についての言及忘れてた。まあいいや。

なんて事を綴っている今まさにこの瞬間に、
不要不急の外出を控えるように！花見自粛するように！※但し
が現実の元になって、やっぱ凄えやリアルは…って気分になっています。
上記妄想が可愛く思えるじゃん！ハードル上げるのやめようよ！